難しければ難しいほどうちの仕事。「歪み不動産」に向き合う理由と面白さ



権利関係が複雑に絡み合った物件や、修繕や空室問題を抱えた物件。一般的には「売れない」と敬遠されがちな不動産を、あえて正面から引き受けるのがプライムリアルエステートです。同社が独自に定義する「歪み不動産」に特化した事業を牽引する縣社長に、複雑な案件と向き合う営業の面白さと、そこで得られる成長価値についてお話を伺いました。

難しい物件にこそ、価値がある。「歪み不動産」に込めた意志とは

――プライムリアルエステートが手がける「歪み不動産」とは、どのような不動産を指すのでしょうか。

一言でいうと、一般的に流通しづらい事情を抱えた不動産のことです。

例えば、区分マンションであれば空室の物件は比較的売買しやすい一方で、当社が扱うのは入居者様がいる状態の物件や、所有権の一部である持分のみの物件など少し複雑なものです。

アパートでいえば、「10世帯中2世帯しか入居していない」「入居者様が長期間家賃を滞納されている、修繕が行き届いていない」といった一般の方や通常の不動産会社様では扱いづらい物件。こうした複雑な事情を解消することで、本来持っている不動産の価値を取り戻すことができます。

このように、市場で評価されにくい歪みを解消し、価値を再生させることが「歪み不動産」の定義です。

――「歪み不動産」という名称はどのように生まれたのでしょうか。

証券の世界で使われる「アービトラージ(裁定取引)」の考え方がもとになっています。価格差や評価のズレに着目し、その歪みを捉えて価値を生み出すという発想です。その「歪み」というキーワードが当社の仕事にそのまま当てはまると考え、「歪み不動産」として言語化しました。

この名称自体は創業後に生まれたものですが、考え方の根本は創業当初から変わっていません。誰にでもできる物件の横流しではなく、経験や専門性を活かして、複雑な不動産を仕入れ、価値を高めて送り出す。そうして誰かの役に立つ仕事がしたいという思いが、現在の「歪み不動産」という言葉につながっています。

たまに「建物が歪んでいる物件を扱っているのか」と勘違いされることもあるので、そこだけは考えものなのですが(笑)、社内ではすっかり浸透しています。

心に一等地を。権利調整で、人の心の重荷を解く仕事

――「歪み不動産」に向き合うようになったのは、どのような経験がきっかけだったのでしょうか。

前職の東証プライム上場の不動産会社では地主のお客様と接する機会が多く、「こういうことで困っているんだけど、協力してもらえないか?」といったご相談をいただくことがよくありました。

それぞれの不動産に対し考え、すぐに答えが出るものばかりではありませんでしたが、課題に向き合い、状況を整理し、解決まで導いたときに、お客様が本当に喜んでくださる。その姿を見ることが、自分にとって大きなやりがいになっていきました。

そんな経験から、単純に物件を売買するよりも「歪み不動産」という解決の糸口が見つけづらい不動産に私が介入し、その問題を解消し本来の価値に上げていくことが自分の存在意義だと考えるようになったことが原点です。

――「心の一等地」という理念には、どのような思いが込められているのでしょうか。

「心の一等地」とは私たちにとって「居場所」を意味しています。ご縁のあるすべての方が、安心して幸せに暮らせる環境や居場所をつくりたい。そうした思いを込めた言葉です。

私自身、前職を退職し、人のために本気で働ける環境に身を置きたいと考えたときに、不思議と転職という選択肢は浮かびませんでした。自分にとっての心の一等地、居場所を自分でつくろうと思ったことが、創業のきっかけでもあります。

また、プライムリアルエステートという社名は、直訳すると「一等地の不動産」という意味なのですが、私たちが考える一等地は「銀座等の良い場所の一等地」といった意味ではありません。それぞれの不動産が持つ価値を最大限に引き上げ、その物件にとって最も良い状態へ導くこと。それが当社の考える一等地です。

その考えを、人の心や暮らしにまで広げて言葉にしたのが、「心の一等地」です。不動産を通じて、お客様や関わる方々にとって安心できる居場所をつくる。そこに、私たちの理念としての思いを込めています。

――その理念を実感できたエピソードがあれば、教えてください。

数多くありますが、直近で印象に残っているのは新宿の1棟ビルの案件です。その物件は、1階テナント様と所有者様との関係が複雑に絡み合っており、所有者様は長期間にわたって大きな心労を抱えておられました。入居者様との関係もうまくいかず、「この物件をどうしたらよいのか」と悩まれている状態。

打ち合わせの場で「私たちがそのままの状態で引き受けます、もう何も気にしなくて良いですよ」とお伝えしたときに、その売主様は目に見えてほっとされて、「これでようやく肩の荷が下りた。本当にありがとう」とおっしゃってくださいました。

その時に、単に不動産を買い取ったのではなく、その方が長く抱えていた不安や重荷を引き受けることができたのだと感じ「心の一等地」という理念を実感することができました。

難しい物件を抱えていることを理由に精神的な負担まで背負われている方は少なくありません。当社が介入しその問題を整理、解消できたとき、この仕事をやっていて本当に良かったと思います。

また、仲介会社の方から「こんな物件を引き受けてくれてありがとうございます」「あんなに複雑だった物件がこんなに変わるんですね」と言っていただけることも少なくありません。権利調整や問題解決を通じて、不動産も人の気持ちも良い方向に変えていく。そのビフォーアフターに、当社ならではのやりがいがあると感じます。

蓄積されたノウハウと、コンサル型の仕事スタイル

――他社にはないプライムリアルエステートならではの強みは、どのような点にあるのでしょうか。

大きく2つあります。

1つは「時間軸を中長期で見られること」です。当社が扱う歪み不動産は短期的な発想では解決できないことが多い。当社はそうした案件に対して中長期目線でじっくり取り組めるのが強みだと思います。

もう1つは、蓄積してきたノウハウです。共有持分、底地、借地といった取引の複雑な案件をどう解きほぐすのか、権利調整が訴訟に至った場合にどのゴールを目指すべきか。そうした多様なケースに対して当社はノウハウを持っています。

当社が扱う物件の多くは、課題解決の正解が1つではなく、複数の正解の中から最適解を選んでいく必要があります。創業から8年間で200件以上の解決実績があります。予期せぬ事態も含めて経験を重ねてきた積み上げがあるからこそ「歪み不動産」に介入できるのです。

逆に言えば、「駐車場に建売住宅を建てる」「空室マンションをリノベーションする」といったすでに整っている物件はあまり扱いません。「難しければ難しいほど、これはうちの仕事だ」と思えること。そこに当社ならではの強みがあると考えています。

――仲介会社様との連携において、大切にされているアプローチがあると伺っています。

「謙虚、誠実、感謝」の3つを社内で大切にしています。知ったかぶりをせず、わからないことは「わからない」と言う。その上で、仲介会社の担当者様がお客様から聞き出せていない情報を一緒に整理し、「この情報があれば、こういうゴールが見えますよ」と先に示すことが多いです。

当社が介入させていただくかどうかに関わらず、そのヒアリングをしていくことで売却が進むケースもある。ときには、私たちのアドバイスにより物件の問題が解決した結果、当社の出番がなくなることもあります。

ただ、それは歪みが解消され、お客様に喜んでいただけた証拠ですから、当社の価値を発揮できたとポジティブに捉えています。

どんな不動産が来ても動じない。チームで共有するから、全員の経験値が上がる

――歪み不動産に携わることで、営業メンバーはどのように成長されていますか。

不動産を通して人の役に立つことを体現できるようになります。また、知識面においてわからないことが少なくなります。

例えば親戚や知人から「この不動産、よくわからなくて困っている」と相談されたときにも、自分で状況を整理し答えを出し、解決できる能力が身に付きます。どんな物件が来ても動じなくなるのが一番成長できる部分だと思います。

当社では毎朝8時から9時の1時間、営業全員で案件の情報を共有しています。他の社員がやっている複雑な案件からも学びがあるので、知見がどんどん積み重なっていくわけです。

――プライムリアルエステートで経験を積むことで、どのような市場価値を持つ人材になれると思いますか。

扱う案件は複雑なものが多く、権利関係や入居者様との調整、関係者との交渉など、毎回同じ進め方では通用しません。そのため、経験を積むほどに、思考力・調整力・交渉力が自然と鍛えられていきます。また、歪み不動産には正解が一つではないケースが多くあります。だからこそ、「過去のあの経験が今回の案件に活かせるかもしれない」と、自分の中の引き出しを増やしていくことができます。そうした応用力を身につけることで、不動産業界の中でも、単なる売買営業ではなく、複雑な課題を解決できる人材へと成長できます。

結果として、お客様に深く貢献できる、市場価値の高い人材になれると考えています。


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